母の心のふるさと

 母を母の母、つまり私の祖母の実家のある、朝倉市須川に連れて行きました。幼いころ、祖母に連れられてよく行っていたようで、また行きたい、と楽しそうに思い出話をするので、一度私も行ってみたいと思っていました。

 天気がいいので急に思い立ち、高速バスに乗りました。

 

 ところが、バスの中では楽しそうにしていたのに、実際現地に立つと、タクシーからはおりず、表情が硬くなっていました。母から聞いていた堤の近くなのですが、「もう、よか」。

 

 ときどき、言っていることと、実際のことが重ならないことがあります。その心のひだの変化がとても気になります。何がそうさせるのか、ほんの些細なことで感情が変わります。思い出話として聞いてあげていた方が良かったのかなと、ちょっと後悔。

 

 母はとても厳しい人でした。嫁いできて、置かれた環境でそうならざるを得なかった、というのを最近、一人の女性として理解できるようになりました。87歳の母の生きざまに共感できる人になるための、私のための小旅行でした。