非行少年たちの神様

 7月6日にサンレイクで講演会がありました。テーマは「子どもの心の声に耳を傾ける」。講師はスクールカウンセラー(元福岡県警察少年育成指導官)堀井智帆さんでした。

 

 話が立派すぎて未消化の部分もありましたのでアマゾンで著書を買って読んだところ、「圧巻!」でした。

 

 とにかくエネルギーがすごい。ほぼ24時間いつでも相談オーケー、話を聞いて対応して終わりではなく、家族のような付き合いを長く続けられていました。11章から構成されていますが、すべて事実、そして当事者の子どもの声もかなり盛り込んであります。本の題も子どもたちの言葉からだそうです。

 

 本人の力量だけでなく、警察の相談機関がこれほどまでに踏み込んで対応してくれるとは、ページをめくるごとに驚き、驚きの連続でした。

 

 そのような活動を通して堀井さんは気がつかれたのだそうです。

 

 親の愛は無償というがそうではなくて、子どもの親への愛が無償だと。どんなにひどい仕打ちを受けても、子はひたすら親をもとめる、親のそばがいいという。

 

 小学校4年生の子が万引きして補導、母親はもう育てることができないのでどこへでも施設でも入れてくれという。

 

 ところがこの少年は児童相談所の一時保護に行くことを喜んだので意外と思ってよく聞くと、自分が家にいると大好きなお母さんを困らせるから自分はいない方がいいのだと、お母さんのために行くのだとニッコリして児相へ。

 

 2か月後に母親が子どもを迎えに行き、「寂しかったから帰ってきてほしい。ダメなお母さんになるかもしれないけれどお母さんと一緒に帰ろう」というと、その子は今まで一滴の涙も見せなかったのに顔をぐしゃぐしゃにしてお母さんにしがみついて泣いていたという。

 

 お母さんにも事情があって結婚を親に反対されて福岡に来ていたのですが、生まれる前に父親とは別れていて生みたくなく、育てる自信もなかったという。愛情が芽生えなく、死なない程度にミルクを上げて、死なない程度に食べ物を与えて育ててきたのだそうです。

 

 保護される子や親にとことん付き合って支援を続ける堀井さん、1977年生まれのほぼ私の子ども世代。

 

 人はここまでやれるのだという見本を見せられて、同じ行政の一機関にいる私の今の自分を見直す機会をもらいました。